(前回の記事はこちらへ→「本当に必要なものを届ける」 被災地や福祉施設の声に応えるNPO法人。)


■NPOはビジネスをしても良い


――― 山本さんはどうしてNPOをはじめたのでしょうか。


山本 大学時代に、とあるNPOと関わる機会があったんですね。

そこの活動には入会金や会費もあったので、「お金取ってるなら非営利じゃないじゃん」と思ったのが興味のはじまりですね。


――― 「NPOは稼いじゃだめ」というのはよくある誤解ですよね。


山本 そうなんですよね。もったいないジャパンも当然、家賃や人件費や物資の送料など運営コストはかかりますから、もちろん資金を稼ぐ必要があります。


――― ちなみにどのように稼いでいるのでしょうか。


山本 寄付をしていただいた物の中から、お金に換えられるものを買い取ってもらい収益を得ています。

たとえば貴金属やブランド品、切手、ハガキ、商品券、外貨紙幣、図書カードなどです。


↓換金できるものの例(引用:もったいないジャパンFacebook)

――― もったいないジャパンの公式サイトを見ると、「今、1番必要としているもの」の中に切手や外貨紙幣があったのはそういうことなんですね。


山本 そうやって換金したお金や寄付金で運営してます。

それで話を戻すと、大学生のときにNPOに興味を持っていろいろ調べていたら、ヨーロッパやアメリカなど海外の事例が多く出てきて、しっかりビジネスをしていたんです。


――― 海外のNPO法人はすごい力を持ってたりしますよね。


山本 そうですね。だから僕の中でNPO法人は、社会的意義が明確なスタイルのビジネスと捉えています。


■古本の持ち寄りから始まった「セカンドブックアーチ」


――― 大学時代にNPOについて学んだあとはどうされたのですか。


山本 とあるNPO法人の中に入って、運営のスキルをいろいろ磨いていったんです。

ただ残念ながら半年でつぶれてしまって。


――― 半年間NPOのことを中から学んだのですね。


山本 で、あるとき本を紹介しあう仲間内の集まりがあったんですけど、みんなで古本を持ち寄って、茅ヶ崎中央公園のフリマで売ってたんですよ。

それが結構な金額になってしまって(笑)


――― 結構稼げたんですね。


山本 そこで誰かが「これってもっと広く集めたらもっとお金になるんじゃない?」って言い出して。

で、僕はNPOの運営経験があったから「NPOにしちゃえばいいんじゃないですか?」って軽く言っちゃったんですよ。


――― ああ、それが始まりですね。


山本 そうなんです。「じゃあ山ちゃんに任せるからやってみてよ」っていう流れになって、そこからセカンドブックアーチがスタートしたんです。

その頃はこれで食べていこうなんて1ミリも思ってなかったんですけど(笑)


■3.11によって生まれた「もったいないジャパン」


――― まず本から始めて、その後にもったいないジャパンでは色んなものを扱い始めましたよね。それはどういうキッカケだったんですか?


山本 本以外のものを扱うようになったのは3.11からですね。

当時、食料や水、服、日用品、衣料品なんかは色んなところから送られてくるんだけど、娯楽は送られてこないという問題があって。


――― 確かに、長期化していくにつれその問題が出てきましたよね。


山本 そうなんですよ。だからあのときは漫画や絵本もめちゃくちゃ寄付したんです。

その流れで「おもちゃはないですか」っていう話も出てきて。


↓2014年に気仙沼の小学校へ絵本を寄贈(引用:セカンドブックアーチFacebook)

――― 実際におもちゃも集まったんですか。


山本 はい。「本と一緒に他の物ももらってくれないかしら?」という方々がいて。

それでニンテンドーDSとか、オセロとか、そういう子どもも楽しめるものを集めて送ったんですよね。

そうしたらめちゃくちゃ喜んでいただいて。

そこから少しずつ本以外も扱うようになってきたんですよ。


――― 「こういうのが欲しい」という需要から広がっていったのですね。


山本 その通りです。その3.11のきっかけで始まって、熊本地震で一気に広がったんです。

そこで扱う量としては、本よりそれ以外のものが多くなっちゃって。


――― なるほど、それで「もったいないジャパン」として分けたんですね。


山本 はい。余談ですけど、最初は「日本リサイクル協会」っていう名前が候補だったんですよ(笑)


――― ちょっとカタいですね(笑)


山本 みんなで2週間考えても、全然出てこなくて。

でも名前ってすごく大事じゃないですか。


――― 大事ですね。


山本 それで、「もったいない」という言葉が出てきて、最終的に「もったいないジャパン」になりました。

短くて言いやすいし、なにをしているか想像しやすいから、この名前にして本当によかったと思います。


⬛︎もったいないジャパンらしさとは


――― 最後に、今後の展望はありますか。


山本 現実味はまだないんですけど、もっと海外に進出することは考えています。


↓現在、フィリピンに寄付するボールを募っている(引用:もったいないジャパンFacebook)

――― 海外にも力を入れていきたいのですね。


山本 そのためには、まず僕や理事が全員倒れても運営できる仕組みをつくることが重要で。

うちで働く人たちが暮らしていける仕組みを、一年二年でつくっていきたいと思っています。

それも、ただ単にマニュアル化するのではなく、そこに「らしさ」がないとだめだと思っていて。


――― らしさ、ですか。


山本 たとえばマニュアルにないようなことが起きたとき、「うちのマニュアルにないのでダメです」って言うのではなく「ウチでは受けられないんですけど、他の団体さんだと大丈夫かもしれません」みたいな、気遣いができるというか。

基本的にはマニュアル通りにやるけども、どこかみんなが自覚持って、もったいないジャパンらしい相手の気持ちを考える仕組みをつくりたいですね。

それがすごく難しいんですけど(笑)


――― これからも大変な道のりだと思いますが、応援しています。インタビューは以上です。ありがとうございました。


(おしまい)